ECサイト運営をしていて最も迷うことの1つは「販売価格」の決め方ではないでしょうか?
販売価格が高すぎたら当然売れないし、低すぎたら忙しいのに全く利益がないということになります。
ECサイトに限らずちょうど良い利益を出すような価格設定をすることは、そのビジネスのブランドイメージを作り上げる重要な経営戦略となります。
利益率や原価率という言葉もよく聞きますが、いまいち仕組みがよく分からないという人も多いのではないでしょうか?
そこで本日のテーマは、
- ECサイトの原価率と利益率ってどう計算したらいいの?
- 商品の最適な販売価格はどうやって決める?
という疑問を解決できる内容でお話したいと思います。
価格設定に関する基本的な考え方と計算方法、価格に関するアイディアなどをまとめています。
私がECサイト運営で10年以上悩み抜いてきて出した結論なので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
ECサイトの販売価格は原価で決まる
当たり前ですが、販売価格は原価から計算して決定します。
原価に沿って利益が出る数字を算出して、それがマーケットで勝負ができるのかを考えなくてはいけません。
とにかく売れることが目標で、ろくに計算をせず市場の最低価格で販売する人もいますが、それははっきり言って素人です!
私の経験上、まず失敗するのですぐにその市場からいなくなります。
販売価格を決定することは、ECサイト運営で最も力を入れるべきポイントだと思います。
ここをしっかりすることで継続して利益が出せるECサイトを運営することができるようになるはずですよ!
原価について
まず、原価には以下のようなものがあります。
- 仕入れ価格
- 関税(海外からの輸送の場合)
- 消費税
- 配送費
- 梱包資材費
- ECモールの販売手数料(Amazonや楽天など)
これら全てを含めた数字が原価となります。
よく間違える部分ですが、「原価=仕入れ価格」ではないことに注意が必要です!
経費について
事業を維持するためには以下のような経費もかかってきます。
- 人件費
- 広告費
- 総務・労務関連費
- 家賃・光熱費・通信費
- 資格や技術取得に必要な費用
これらの経費は原価に含む必要はないですが、頭の中に入れておくことはとても重要です。
販売価格の具体的な計算方法
具体的な販売価格の算出方法は、以下の方法で求めることができます。
原価を原価率で割る方法
一般的な計算方法として認知されている方法となります。
計算は「販売価格」=「原価」÷「原価率」となり、原価率は売り上げに対して原価の占める割合なので、「原価率」=「原価」÷「売上」で計算します。
ECサイトではあまり関係ないですが、飲食業界は身近な例として分かりやすいので合わせてご紹介します。
あくまで概算ですが、一般的な原価率は以下のような数字となります。
- 卸売業の原価率:平均80%
- 小売業の原価率:平均55%
- 飲食業の原価率:平均30%
さらにここから飲食業を細かく見ていくと、
- ラーメン店の原価率:平均25%
- カフェ(飲み物メイン)の原価率:平均20%
- レストラン(食べ物メイン)の原価率:平均35%
- 居酒屋の原価率:平均40%
と言った感じで、業界ごとに一般的な原価率というものが存在します。
原価が1,000円の商品の場合、原価率が50%ならば、販売価格は1,000円÷0.5=2,000円となるわけですね。
業界の一般的な原価率が分かれば、自分の取り扱う商品が高いのか安いのか、ライバルと価格で勝負できるのか、一般的な原価率になっているかなどを計算することができます。
利益率から計算する方法
利益率を先に決めて、そこから逆計算していく方法となります。
これは私が実際に使っている方法なのですが、業界の一般的な数字を計算するよりも自分のビジネスを中心に考えることができます。
ライバルが少なくて平均よりも利益が取れるとか、他社よりも経費を抑える企業努力をしているなど、企業によって利益率は異なります。
なので、それぞれの商品に沿って具体的にいくらの利益を取りたいかを計算することができます。
例えば、実際に私が扱っている商品を1つ例に取ってみます。
販売価格が1000円の商品で利益を30%取りたいと考えた時、1000×0.3=300円を利益とすると、経費を含めた全ての出費を700円にする必要があります。
- 仕入れ価格:400円
- 関税(12%):48円
- 消費税(10%):40円
- 配送費(200g):55円
- 梱包資材費:20円
- 販売手数料(7%):70円
- 人件費などの経費(平均):70円
というように1個あたりの支出を細かく計算をすると、約400円で商品を仕入れることができれば、1000円で販売をしたときに約300円の利益を出せるということになります。
最適な販売価格の見つけ方
上記で原価率や利益率の考え方をご紹介しましたが、これらは全て販売者側の立場からお話をしました。
実際には販売者はなるべく高く売りたいと考え、購入者はなるべく安く買いたいと考えるので、理想の価格とは開きがあります。
なのでここからは、購入者が「この金額なら買ってもいい」と思える金額を見極める方法をご紹介したいと思います。
市場価格を参考に価格を決定する
理想の金額を見つけるための最も良い方法は、市場価格をリサーチすることです。
ECサイトは基本的に1円でも他社より安ければ売れるという法則はあります。
リピーターでも価格差によって簡単に奪われてしまうことも多いです。
しかし、安く販売し過ぎると利益が少なくなって意味がなくなってしまうことも考えられます。
なので、安くしてもしっかり利益が取れるならば業界最安値を狙い、広いターゲットに商品を売り込んでいくのであれば平均的な価格で販売し、高級感を出して商品やサービスの質を高くするのであればあえて高い価格に設定すると良いと思います。
需要に合わせて価格を決定する
高く売れるときには高く売り、高く売れないときには安く売るという方法もあります。
例えば、夏に売れやすい商品であれば夏に高くして、冬は安くすると言った感じです。
また、年末年始、母の日、父の日、ブラックフライデーなどのイベントによる消費者ニーズに合わせて価格を調整することもとても有効です!
入手困難な限定品で、値段が定価の10倍になるならばその価格で販売するべきですし、在庫が余って全く売れないならば原価以下で損切りするべきだと思います。
モデルに合わせて価格を決定する
シーズンもののアパレル商品や電化製品など、出始めは値段が高く、時間が経つにつれて価格を下げるという方法です。
基本的には新モデルが出るタイミングで旧製品の値段を下げます。
一方で、出始めの頃に安い価格設定をして認知度を上げ、人気が出てきたら少しずつ値段を上げていくというテクニックもあります。
ただ、価格を上げることによって商品が売れなくなり、それによって仕入れなどもさらに高くなるなどの悪循環に陥る危険性も考えなくてはいけません。
時間の経過によって価格が変動する商品の場合は、手間をかけてこまめに価格調整をすることが大切です!
心理的な効果で価格を決定する
購入者の心理を上手に利用する方法です。
「松竹梅」のように3種類の値段があると中を選びたくなる心理を利用して、最も販売したい商品を中価格帯に持ってきます。
また、999円や1,999円など、価格を端数にして安く見せる演出もあります。
これらの心理的な効果は大きなショップほど上手に行っているので、基本的には誰もが知っているようなショップさんを真似ると良いと思います。
ECサイトの販売価格を極めよう!
以上、ECサイトの最適な販売価格についてご紹介させていただきました。
販売価格設定にはある程度のセオリーはありますが、実際には1つ1つの商品で異なるのが難しいところです。
そして、何が正解だったのかが分からないものでもあるので、きっと永遠の課題ですね。笑
少しでもこの記事を参考にして、販売価格について良いアイディアが浮かべば幸いです!
「売れるECサイトを作りたい」という方は、以下でECサイトに関するノウハウをまとめていますのでよかったらご覧ください。
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